はじめに
先日(05/06)、仮想マシンのブート・ボリュームを置換える機能が リリース されました
これまでは、同じホスト名やプライベートIPを使用してインスタンスをリストアしたい場合には、
- 既存のインスタンスを削除する
- 既存インスタンスが使用していたプライベートIPを開放する
- バックアップからブート・ボリュームを作成する
- 作成したブート・ボリュームからプライベートIPを指定してインスタンスを作成する
の手順が必要でした
この従来の手順では、既存インスタンスを削除する必要があり、新インスタンス作成時にプライベート IP アドレスを静的に割り当てる必要があります
しかし、今回リリースされた機能を使用すれば、同じ IP アドレスを使用した状態でリストアすることが可能となります
また、動的グループを OCID を指定して作成していた場合には、従来の手順では OCID が変更されるため、新インスタンスの OCID へ修正する必要があります
こちらも今回リリースされた機能を使用すれば、インスタンスの OCID は変更されずに新しいブート・ボリュームでインスタンスを起動させることができるため、動的グループを修正する必要がなくなりました
このブート・ボリュームの置換え機能は非常に簡単な手順となっていますので、先述いたしましたバックアップからのリストアをブート・ボリュームの置換え機能に変更して実施してみたいと思います
前提条件
- コンピュート・インスタンスがすでに作成済みであること
- 本記事では Oracle Linux を使用いたします
- リストアするバックアップは、手順内にて手動でバックアップしたものを使用いたします
- ブート・ボリュームのリストア時などの各種入力値は、基本的にデフォルト値をそのまま使用いたします(名前などの必須で要入力項目のみ明記しています)
また、ブート・ボリュームの置換えを行うためには、 ドキュメントの ブート・ボリュームの置換要件およびオプション を満たしている必要がありますので、ご一読をお願いいたします
リストア確認
1. フルバックアップ取得
インスタンス詳細
- ブート・ボリューム: instance-202407 (Boot Volume)
インスタンスのブート・ボリューム
ブート・ボリュームのバックアップ作成
- 名前:
置換え用バックアップ
- バックアップ・タイプ:
完全バックアップ
instance-202407 (Boot Volume)
を完全バックアップします
2. バックアップからブート・ボリュームのリストア
ブート・ボリュームのリストア
- 名前:
replace-boot-volume
取得したバックアップから、ブート・ボリュームをリストアします
リストアされたブート・ボリュームの詳細
3. ブート・ボリュームの置換え
インスタンス詳細(ブート・ボリューム)
- OCID: ocid1.instance.oc1.ap-tokyo-1.anxhiljrzif6lvyct3epqesvas6c3drltapw3rxifkzdudjsfeeef4veqnva
- プライベートIPv4アドレス: 10.103.0.186
- ブート・ボリューム: instance-202407 (Boot Volume)
ブート・ボリュームの置換え
インスタンス詳細で確認できるブート・ボリュームの一覧画面で、 ブート・ボリュームの置換え
ボタンをクリックします
ブート・ボリュームの置換え中
ブート・ボリュームを置換える際には、 ドキュメント に記載があるように、インスタンスは停止されます
その際にブート・ボリュームはデタッチされ、自動的に起動する際には置換えるブート・ボリュームがアタッチされます
インスタンス詳細(ブート・ボリューム)
- OCID: ocid1.instance.oc1.ap-tokyo-1.anxhiljrzif6lvyct3epqesvas6c3drltapw3rxifkzdudjsfeeef4veqnva
- プライベートIPv4アドレス: 10.103.0.186
- ブート・ボリューム: replace-boot-volume
インスタンスは実行中になり起動が完了しますが、OCID やプライベート IPv4 アドレスは変更されておりません
また、ブート・ボリュームは変更後のボリュームがアタッチ済となっています
ログイン確認
SSH でも問題なく接続でき、 IP アドレスもコンソールで確認できる IP アドレスと同じアドレスとなっております
まとめ
インスタンス詳細画面にて非常に簡単に置換えることができ、 OCID やプライベート IP アドレスも変更されていないことが確認できます
従来のようにリストア作業を行う際に、既存インスタンスを削除して新規インスタンスを作成する必要もありませんし、 OCID なども変更されませんので、動的グループのような OCID を指定するような設定を行っている場合には、非常に有用な機能追加と言えるのではないでしょうか
特に削除を伴う作業は対象外インスタンスを誤って削除してしまうなどの危険性がございますが、本機能を活用いただくことでインスタンスの誤削除といったヒューマンエラーを防止できるなど、メリットも多いのではないでしょうか