はじめに
Amazon Auroraの料金オプションである「I/O-Optimized」。I/O課金がゼロになる一方で、インスタンスとストレージの基本料金が上がります。本記事では、Amazon Auroraの「Standard」と「I/O-Optimized」オプションのどちらを選ぶべきか検討する際、コストの損益分岐点を評価する方法を解説します。
結論:すべてのAuroraシェイプで境界線は共通
結論から言うと、現在のAurora Standardの月額コストにおいて、「現在の月間I/O料金」が、「インスタンス料金の30% + ストレージ料金の125%」の合算値を上回っているワークロードであれば、I/O-Optimizedへ移行した方が安くなります。
この関係性は、数式モデルとして以下のように一般化できます。
( IO: 月間I/O費、 I: 月間インスタンス費、 S: 月間ストレージ費)
AWSの料金設計において、I/O-Optimized化による値上がり率は、インスタンスが一律30%増、ストレージが一律125%増と固定されているため、この数式はすべてのAuroraシェイプで共通して使えます。
料金構造の比較(東京リージョン / db.r6g.largeの場合)
ベースとなる料金の差分は以下の通りです(※2026年7月時点。最新情報は公式ページをご確認ください)。
| 課金項目 | Standard | I/O-Optimized | 差分(I/O-Optの増分) |
|---|---|---|---|
| インスタンス | $0.313 /時 | $0.407 /時 | +30% |
| ストレージ | $0.12 /GB(月) | $0.27 /GB(月) | +125% |
| I/O料金 | $0.24 /100万回 | $0.00(無料) | -100% |
この「インスタンス30%増、ストレージ125%増」という固定費の跳ね上がりを、削減されるI/O料金($0.24/100万回)が上回れるかどうかが分岐点です。
損益分岐点の具体例
例として、db.r6g.large(1台、常時起動)で、データ容量が500GBの環境を計算します。
- Standardでの固定費(月730時間換算、I/O除く)
- インスタンス:$0.313 × 730時間 ≒ $228
- ストレージ:$0.12 × 500GB = $60
- 固定費合計:$288 /月
- I/O-Optimizedでの固定費
- インスタンス:$0.407 × 730時間 ≒ $297
- ストレージ:$0.27 × 500GB = $135
- 固定費合計:$432 /月
この構成における固定費の差額は $144 です。 この差額をStandardのI/O単価($0.24/100万回)で割ると、月に6億回です。30日(2,592,000秒)で換算すると、常時平均約230 IOPS以上のI/Oが発生しているかどうかが、この環境における損益分岐点です。
ご自身の環境での確認手順
この試算をご自身の環境に当てはめる場合、AWSマネジメントコンソールの CloudWatch Metrics から、対象Auroraクラスタの以下の2つのメトリクスを確認してください。
VolumeReadIOPS(1秒あたりの平均リード数)VolumeWriteIOPS(1秒あたりの平均ライト数)
計算ステップ
- 過去30日間のグラフを表示し、期間を「30日(30d)」、統計を「合計(Sum)」に設定します。
- 表示された
VolumeReadIOPSとVolumeWriteIOPSの「合計(Sum)」の数値を合計します。 - この合計値が、ご自身の環境の「月間総IOPS(回数)」となります。

▲ CloudWatchでの VolumeReadIOPS の確認例(期間: 30日、統計: 合計 に設定)

▲ CloudWatchでの VolumeWriteIOPS の確認例(期間: 30日、統計: 合計 に設定)
先ほどの「db.r6g.large / データ500GB」の例であれば、CloudWatch上の30日間の合計値が 600,000,000 を超えていれば、I/O-Optimizedに切り替えた瞬間からコスト削減になります。
まとめ
I/O料金が全体コストに占める割合が高いワークロードでは、I/O-Optimizedへ移行することで大きなコスト削減が期待できます。
一方で、データ容量が大きくストレージ料金の割合が高い一方、I/Oが比較的少ないワークロードでは、I/O-Optimizedへ切り替えることでコストが増加する可能性があります。
ご利用の環境のワークロードに合わせ適切に選択することで、ランニングコストが削減できる可能性がありますので、まずはCloudWatchで月間の VolumeReadIOPS と VolumeWriteIOPS の合計実績を確認してみてください。


