Oracle Cloud Infrastructure(OCI)生成AIは、エンタープライズ向けに最適化された大規模言語モデルを提供するクラウドサービスです。Meta LlamaシリーズやCohereモデルなど、多様なLLMモデルを統合し、チャットボット、テキスト生成、セマンティック検索などの用途に活用できます。本記事では、OCI生成AIで利用可能な主要モデルの特徴と活用方法を詳しく解説し、最適なモデル選定のポイントをご紹介します。
OCI生成AIとは?注目される理由と導入が進む背景
OCI生成AIは、Oracle Cloud Infrastructure上で提供される包括的な人工知能サービスです。企業が求める高度なセキュリティ、スケーラビリティ、統合性を兼ね備えたAI基盤として注目されています。
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のAI分野での立ち位置
OCIは、データベース技術で培った信頼性とセキュリティをAI分野に応用したクラウドプラットフォームです。特に、Autonomous DatabaseやOracle Databaseとのシームレスな連携により、既存のデータ資産を活用したAI導入が可能となっています。
OCI生成AIは、単なるAIサービスの提供にとどまらず、企業のデータガバナンスと一体化した運用を実現します。データ主権の確保とコンプライアンス要件を満たしながら、高度なAI機能を活用できる点が、他のクラウドサービスとの大きな違いです。
他クラウド(AWS/Azure/GCP)との違いと強み
OCI生成AIは、他の主要クラウドプロバイダーと比較して、以下の独自の強みを持っています。まず、Oracle Database ConnectorやAutonomous Databaseとの直接連携により、データ移行のコストと時間を大幅に削減できます。
また、OCI Speechサービスや OCI Vision画像解析との統合により、音声、画像、テキストを横断したマルチモーダルAI活用が可能です。これにより、従来では困難だった複合的なAI業務の自動化を実現できます。
さらに、OCI独自のBare Metal ServersやGPUインスタンスによる高性能処理により、大規模なファインチューニングや推論処理を効率的に実行できます。
OCI生成AIで使える代表的なモデル一覧
OCI生成AIでは、様々な用途に対応した多様なLLMモデルを提供しています。各モデルは特定の用途に最適化されており、適切な選択により高い成果を得ることができます。
主要モデル(Cohere、Meta Llama 3、Mistral)の概要
Meta Llamaシリーズは、OCI生成AIの中核を成すモデル群です。Llama 3.2、Llama 3.1、Llama 3など、複数のバージョンが利用可能で、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。
Llama 3.2-90B-Vision-Instructモデルは、テキストと画像の両方を処理できるマルチモーダル機能を備えており、ドキュメント理解AIとして活用できます。一方、Llama 3.1-405B-Instructモデルは、最大級のパラメータ数を持ち、複雑な推論タスクに優れた性能を発揮します。
Meta Llamaシリーズは、商用利用可能なライセンスと高い性能を両立しており、企業でのAI導入の第一選択肢として推奨されるモデルです。
これらのモデルはオープンソースならではの柔軟性と高いコストパフォーマンスを両立しており、多様な開発ニーズに対応します。
Cohereモデルは、企業向けの用途に特化して開発されたモデルシリーズです。Command R+、Command R、Command Light(米国中西部 (シカゴ)でのみ使)の3つの主要モデルがあり、それぞれ異なる処理能力と用途に対応しています。
特に注目すべきは、Cohere Embed v3モデルによる埋め込み機能です。このモデルは、テキストのセマンティック検索に特化しており、RAG(Retrieval Augmented Generation)システムの構築に最適です。
また、Cohere Rerankモデルは、検索結果の再ランク機能を提供し、より関連性の高い情報を上位に表示することができます。これにより、企業内検索システムの精度向上に大きく貢献します。
ベクトル検索用モデル(Cohere Embed v3など)
ベクトル検索モデルは、新世代のAI検索技術を支えるために開発されたモデル群です。GoogleのGeckoやOpenAIのEmbedding Adaなど、様々な企業がモデルを公開しており、それぞれが異なる性能や特性を持っています。
その中核技術が、Cohere Embed v3のような埋め込み(Embedding)専用モデルです。このモデルは、テキストを意味的な特徴を捉えたベクトル情報へと変換し、キーワードの一致に依存しない高精度なセマンティック検索を実現します。この機能は、特にRAG(Retrieval Augmented Generation)システムにおいて、的確な関連情報を抽出するために不可欠です。
さらに、Cohere Rerankのような再ランキングモデルを併用することで、検索の質をもう一段階引き上げることができます。このモデルは、ベクトル検索で得られた結果群を文脈に沿って並べ替え、最も関連性の高い情報を最上位に表示させるため、検索システム全体の精度向上に大きく貢献します。
用途別おすすめモデル選定ガイド
OCI生成AIのモデル選定は、具体的な用途に応じて行うことが重要です。以下に、主要な用途別のおすすめモデルをご紹介します。
用途 | 推奨モデル(OCIモデルID) | ざっくり理由 |
チャットボット | Cohere Command A(cohere.command-a-03-2025) | Cohere最新の主力チャット。ツール実行・エージェント・RAG・多言語が強く、256kコンテキストで長対話に強い。日本(大阪)でも提供。(Oracle Docs) |
文書要約(長文) | Cohere Command A(上に同じ)/代替:Meta Llama 3.3 70B(meta.llama-3.3-70b-instruct) | 長文は256kのCommand Aが安定。コストや好みで選ぶならLlama 3.3は128kで要約・推論が3.1より向上。(Oracle Docs) |
コード生成 | Meta Llama 4 Scout / Maverick(meta.llama-4-scout-17b-16e-instruct / meta.llama-4-maverick-17b-128e-instruct-fp8)/日本オンデマンド重視なら Llama 3.3 70B | Llama 4系はコーディング・ツール呼び出し最適化。※オンデマンドは米シカゴ、国内は専有クラスター。日本リージョンで即オンデマンドならLlama 3.3 70Bが無難。(Oracle Docs) |
セマンティック検索 | Cohere Embed 4(cohere.embed-v4.0)+(必要に応じて)Cohere Rerank 3.5(cohere.rerank.3-5) | 現行はEmbed v4(テキスト/画像の単独入力対応、1536次元)。再ランキングが必要ならRerank 3.5(専用クラスタのみ)。(Oracle Docs) |
多言語翻訳 | Cohere Command A/要件次第で Llama 4 | Command Aは多言語用途に強い。最高品質志向なら、Llama 4は200言語学習の多言語最適化(EUでの利用制限注意)。(Oracle Docs) |
出典:モデル一覧・世代:Pretrained Foundational Models
各モデルの詳細:Command A、Command R/R+、Llama 3.3 70B、Llama 4 Scout/Maverick、Embed 4、Rerank 3.5 それぞれのモデルページ。
コード生成の用途では、Llama 4 Scout(17B)やLlama 4 Maverick(17B)が適しています。これらは比較的コンパクトなパラメータ規模ながら、プログラミング言語の理解と生成、ツール呼び出し機能に最適化されており、エージェント構築やRAGとも組み合わせやすい設計です。
一方、より複雑な推論や大規模コンテキスト処理を要するタスクには、Meta Llama 3.3 70BやMeta Llama 3.1 405Bといった大規模モデルが適しています。
ビジネス活用が進むOCI生成AIの導入メリット
OCI生成AIは、単なるAIツールを超えて、企業のビジネスプロセス全体を変革する可能性を秘めています。特に、既存のOracle製品との連携により、包括的なデジタル変革を実現できます。
OCIサービス(DB、Storage、Searchなど)と連携しやすい構成
OCI生成AIの最大の強みは、Oracle Autonomous Databaseとの緊密な連携にあります。Vector Search機能と組み合わせることで、企業の蓄積データを活用した高精度なRAGシステムを構築できます。
従来のRAGシステムでは、ベクトルデータベースの管理が課題となっていましたが、Autonomous Databaseのベクトル検索機能により、この問題を解決できます。データベースの運用負荷を軽減しながら、高性能なセマンティック検索を実現できる点が、他のクラウドサービスにはない独自の価値です。
データ主権・セキュリティ対応(Private Subnet、暗号化など)
OCI生成AIの導入メリットとして、企業の厳格なセキュリティ要件に応えるデータ主権(データ・レジデンシー)とガバナンスが挙げられます。顧客専用のプライベートサブネット内にAIモデルを配置し、プライベートエンドポイント経由でのみアクセスさせることが可能です。
このアーキテクチャにより、機密情報や個人データがインターネットを経由することなく、安全なネットワーク内で処理が完結します。自社の管理下でデータを保持したまま、生成AIのパワフルな機能を安全に利用できる点が、他のサービスにはないOCIならではの大きな強みです。
Oracleならではのユースケース対応
OCI生成AIは、AIガードレール機能により、生成される内容の安全性を確保しています。この機能により、不適切なコンテンツの生成を防ぎ、企業のブランド価値を保護できます。
また、Oracle Cloud Guardとの連携により、AI利用における異常な活動を検知し、セキュリティインシデントを未然に防ぐことができます。
さらに、RAG(検索拡張生成)とAutonomous Databaseを連携させることで、企業独自のデータベースをAIの知識源として直接活用できます。これにより、AIは学習データに含まれていない社内の最新情報や専門文書をリアルタイムで参照し、回答を生成します。
その結果、AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」を抑制し、より正確で信頼性の高い応答が可能になります。
OCI生成AIの料金体系とコスト最適化のポイント
OCI生成AIの料金体系は、利用量に応じた従量課金制を基本としています。適切な料金プランの選択とコスト最適化により、ROIを最大化できます。
従量課金制の詳細と料金体系
OCI生成AIの料金は、基本モデルはオンデマンドで使用でき、プロンプトの長さとモデルからの応答(モデルからの応答が考慮されない埋込みモデルを除く)に基づく文字単位の支払いになっています。モデルの種類や処理内容により、料金が異なります。
OCI生成AI
製品 | 比較価格(/vCPU)* | 単価 | 単位 |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Cohere Rerank – Dedicated | — | ¥1,550.00 | クラスタ時間 |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Meta Llama 4 Scout | — | ¥0.279 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Meta Llama 4 Maverick | — | ¥0.279 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Large Cohere | — | ¥2.418 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Small Cohere | — | ¥0.1395 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Embed Cohere | — | ¥0.155 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure生成AI – 大Meta | — | ¥0.279 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Meta Llama 3.1 405B | — | ¥4.1385 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – Meta Llama 3.2 90B Vision | — | ¥0.775 | 10,000トランザクション |
Oracle Cloud Infrastructure生成AI – 大Cohere – 専用 | — | ¥3,720.00 | AIユニット/時 |
Oracle Cloud Infrastructure Generative x -小Cohere – 専用 | — | ¥1,007.50 | AIユニット/時 |
Oracle Cloud Infrastructure生成AI – 埋込みCohere – 専用 | — | ¥1,689.50 | AIユニット/時 |
Oracle Cloud Infrastructure生成AI – 大Meta – 専用 | — | ¥1,860.00 | AIユニット/時 |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 or Grok 4 – Input Tokens | — | ¥465.00 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 or Grok 4 – Output Tokens | — | ¥2,325.00 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Mini – Input Tokens | — | ¥46.50 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Mini – Output Tokens | — | ¥77.50 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Fast – Input Tokens | — | ¥775.00 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Fast – Output Tokens | — | ¥3,875.00 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Mini Fast – Input Tokens | — | ¥93.00 | 1,000,000トークン |
Oracle Cloud Infrastructure Generative AI – xAI – Grok 3 Mini Fast – Output Tokens | — | ¥620.00 | 1,000,000トークン |
出典:生成AIサービスの価格
※上記は記事更新時点での価格なので最新版の価格は必ず公式ページにてご確認ください。
$300のフリークレジットと今後のAlways Free枠
OCIでは、新規アカウント開設時に$300のフリークレジットが提供されます。このクレジットを活用することで、初期段階でのコストを抑えながらOCI生成AIの評価を行えます。
フリークレジットの有効活用により、本格導入前にROIを見極められるため、投資リスクを最小化できます。
OCIリセールサービスによるコスト削減
OCIリセールサービスを利用することで、最大3%のコスト削減が可能です。特に、請求書払いに対応しているため、クレジットカード決済が困難な企業でも利用できます。
項目 | 直接契約 | リセールサービス |
料金割引 | なし | 最大3%OFF |
支払い方法 | クレジットカード(ドル建て) | 請求書払い(円建て) |
サポート | 英語サポート | 日本語サポート |
代行手数料 | – | 無料 |
出典:CloudMikö OCI リセールサービス|CloudMikö 公式ページ
OCI生成AIの導入・運用における課題と解決策
OCI生成AIの導入には、技術的な課題と運用上の課題が存在します。これらの課題を事前に理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな導入と効果的な運用が可能になります。
モデル選定・環境構築・セキュリティのよくある悩み
OCI生成AIの導入において、最も重要な課題はモデル選定です。用途に適さないモデルを選択すると、期待した成果を得られないだけでなく、コストも増大します。
また、API連携やファインチューニングの実装には、専門的な知識が必要です。特に、既存システムとの統合では、認証、ネットワーク設定、データフォーマット変換など、多岐にわたる技術的な課題があります。
さらに、情報漏洩や不正利用を防ぐセキュリティ対策も大きな課題となります。悪意のある指示(プロンプトインジェクション)により、モデルに意図しない動作をさせられるリスクもその一つです。
専門的な技術支援を受けることで、導入期間を短縮し、確実な成功を実現できるため、サポートサービスの活用を検討することが重要です。
「OCIサポートプラス」による技術支援サービス
OCIサポートプラスは、OCI生成AIの導入から運用まで、包括的な技術支援を提供するサービスです。認定資格を持つ専門エンジニアが、お客様専属のサポート担当として対応します。
エンタープライズプランでは、年間120万円(税抜)で以下のサポートを受けられます。Web会議による技術支援、設定代行、コンサルティング、定期相談会など、導入から運用まで一貫したサポートを提供します。
特に、OCI生成AIの活用方法や最適化について、実際の業務に即したアドバイスを受けられる点が、他のサポートサービスとの大きな違いです。
出典:CloudMikö OCI サポートプラス|CloudMikö 公式ページ
OCI生成AIを活用した業務変革の実例
OCI生成AIは、実際の企業で導入が進み、具体的な成果を上げている事例が報告されています。以下に、公式に確認されている活用事例をご紹介します。
ヤマトコンタクトサービス:AI活用による顧客サポート業務効率化
ヤマトコンタクトサービス株式会社では、OCI Generative AIサービスとOracle Database 23aiのAI Vector Search機能を組み合わせて、顧客サポート業務の効率化を実現しました。
具体的な成果:
- FAQ提案マッチ率を従来の約2倍となる85%まで向上
- 宅急便の配送に関するメール問い合わせ対応業務を約20%削減
- RAG(検索拡張生成)技術により、企業固有の知識を活用した高精度な回答生成を実現
このシステムでは、意味検索と属性検索を組み合わせることで、より文脈に即した的確な回答を提供できるようになっています。
出典: オラクルの生成AIサービスでヤマトコンタクトサービスの顧客サポート業務を改善 |日本オラクル公式発表(2025年7月7日)
Industrial Scientific:AI駆動による顧客支援業務の革新
安全機器メーカーのIndustrial Scientificでは、OCI上にCohere R+ LLMベースのAIチャットボット「SensAI」を構築し、月約1,200件のサポート依頼への自動応答を実現しました。
具体的な成果:
- 業務効率を30%向上
- 従来数日かかっていたメール応答を数分に短縮
- Salesforce連携により、顧客の契約レベルに応じたカスタマイズ回答を提供
このシステムは、RAGパイプライン、OCI Functions、Oracle Integration Cloudを組み合わせた包括的なソリューションとなっています。
出典: Industrial Scientific Case Study |Oracle公式ページ
Oracle Sales Cloudでの生成AI活用
Oracle Sales Cloudでは、生成AI機能を統合し、営業チームの効率向上を支援しています。
主な機能:
- 顧客からの質問に対する文脈を考慮した回答の自動作成
- 営業メールの自動生成支援
- 顧客データと営業プロセスの統合による包括的なソリューション提供
出典: オラクル、売上向上を支援する新しいAI機能を発表 |日本オラクル公式発表(2024年4月25日)
OCI生成AIの活用に適した企業の特徴
OCI生成AIは、特定の特徴を持つ企業において、より高い効果を発揮します。自社の状況を客観的に評価し、導入の適性を判断することが重要です。
AI導入の前提条件を満たすチェックリスト
AIはビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、その導入を成功させるには、計画的なアプローチが欠かせません。まずは以下のチェックリストを用いて、自社がAI導入の前提条件をどれだけ満たしているか客観的に評価してみましょう。
- 明確な業務課題と期待する成果が定義されている
- AI活用のためのデータが整備されている
- 経営層のコミットメントと現場の推進体制が整っている
- セキュリティとガバナンスの要件が明確である
- AI導入のための予算とリソースが確保されている
- 継続的な運用と改善の体制が整備されている
上記の項目のうち5つ以上にチェックが付く場合、AI導入によって大きな成果を得られる可能性が高いと考えられます。もしチェックが付かなかった項目があれば、そこが導入に向けた準備の第一歩となります。
OCI生成AI導入の適性を見極める4つのチェックポイント
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の生成AIサービスを効果的に活用するには、技術面だけでなく、ビジネス課題や組織体制、データ品質、セキュリティの観点からも適性を確認することが重要です。以下の4点を順に検討してみましょう。
- 解決すべきビジネス課題の明確化
- データ可用性と品質の確認
- 組織体制とリーダーシップの整備
- セキュリティ・統合メリットの評価
まず1点目として、解決したい課題を具体的に定義することから始めます。「チャットボットで顧客対応を自動化したい」「月次レポート作成を効率化したい」「社内ナレッジ検索にRAG機能を活用したい」など、一言で表現できる明確な目標設定が重要です。
次に、生成AIの性能を左右するデータの準備状況を確認します。FAQやマニュアル、ログデータなどがデジタル化され、アクセス・前処理が容易な状態にあるかをチェックしましょう。組織面では、経営層のコミットメントと現場主導の推進体制が不可欠です。データサイエンティスト、エンジニア、業務担当者の協働体制が整っているかを評価します。
最後に、機密情報を扱う際の情報漏洩防止やアクセス制御、OCIのID管理やAutonomous Databaseとの統合によるセキュリティ要件の充足性、既存Oracle製品との連携による運用効率やコスト最適化の期待値を総合的に判断することで、導入適性を見極めることができます。
OCI生成AIの始め方とリセールサービス活用の流れ
OCI生成AIの導入を成功させるためには、適切な計画と実行プロセスが必要です。段階的なアプローチにより、リスクを最小化しながら確実な成果を得ることができます。
アカウント開設〜初期設定までの手順
OCI生成AIを始めるためには、まずOCIアカウントの開設が必要です。公式サイトから申し込みを行い、$300のフリークレジットを受け取ります。
次に、IAMポリシーの設定を行い、生成AIサービスへのアクセス権限を適切に設定します。VCNとSubnetの設定により、セキュリティの高い通信環境を構築します。
最後に、使用するモデルを選択し、API エンドポイントの設定を行います。プレイグラウンドを使用して、実際のモデルの動作を確認できます。
出典:Oracle Cloud Infrastracture ドキュメント|Oracle ヘルプ・センター
サポート込みで最短3営業日から利用を開始する方法
スマートスタイルが運営するCloudMiköのOCIリセールサービスを利用することで、最短3営業日でOCI生成AIの利用を開始できます。専門スタッフが契約手続きからからOCIアカウント発行、ネットワーク設定、初期モデルのデプロイまで、包括的にサポートいたします。迅速かつ確実にOCI生成AIの利用をスタートしたい企業様に最適なサービスです。
また、技術的な不明点や設定方法について、日本語でのサポートを受けられるため、導入の不安を解消できます。
OCI生成AIの導入後は、継続的な運用改善が重要です。本サービスでは、利用状況の監視、コスト最適化、モデルの更新など、定期的なメンテナンスを行います。
また、ビジネスの成長に合わせて、追加のモデルやサービスを導入することで、AI活用の効果を最大化できます。OCIサポートプラスの定期相談会を活用し、継続的な改善を実現できます。
まとめ
OCI生成AIは、Meta LlamaシリーズやCohereモデルなど、多様な大規模言語モデルを提供する包括的なAIプラットフォームです。Oracle DatabaseやAutonomous Databaseとの緊密な連携により、企業の既存データ資産を活用した高度なAI活用を実現できます。
- Meta Llamaシリーズ、Cohereモデルなど多様なLLMモデルを提供
- Oracle Database連携による高度なRAGシステム構築が可能
- リセールサービスで最大3%のコスト削減と日本語サポートを提供
- エンタープライズ向けセキュリティとガバナンス機能を標準装備
- 多言語対応とグローバル展開に対応したサービス基盤
- 専門エンジニアによる包括的な技術支援体制
OCI生成AIの導入を検討されている場合は、まずフリークレジットを活用した評価から始めることをお勧めします。OCIリセールサービスやOCIサポートプラスを活用することで、確実で効果的な導入を実現できます。