OCIのコスト管理サービスを活用して消費割合ごとに各責任者にアラート通知してみる

目次

はじめに

近年、利便性やアセットライトなどの考えからAWSやAzure、そしてOCIなど様々なクラウドサービスの活用がビジネス現場でされてきました。しかし、クラウド化を進めるにあたり、当初想定していた予算を上回ってしまったという経験はあるのではないでしょうか。OCIでは、今までかかってきた費用をもとに将来かかる費用を予測し、予算割合に応じて複数の管理者へ通知するという予算サービスを提供しています。本記事では、その手順について紹介していきます。

コスト管理サービスとは

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のコスト管理サービスは、コスト見積もり、予算作成、支出のビジュアル化、請求管理、使用状況の監視など多岐にわたる機能を提供しており、ユーザーがクラウドの費用を効果的に管理できるようサポートすることで、無駄な支出を避け、最適なクラウド環境を維持することが可能となります。具体的なコスト管理サービスは以下となります。

  • コスト分析:コスト分析ダッシュボードを利用して費用のトレンドを視覚化するとともに、詳細な分析が可能です。
  • 予算:テナント、コンパートメント、タグごとに予算を設定でき、設定した予算を超えた際には通知を受け取ることが可能です。
  • スケジュール済みレポート作成:指定したスケジュールに基づいて自動的にCSVもしくはPDFのコストレポートを生成し、定期的なコスト管理を行うことも可能です。

参考:コスト管理とガバナンス
参考:請求およびコストの管理

本記事の概要

本記事では、OCIのコスト管理サービスの中から、「予算」サービスを活用し、50%、75%、100%とコンパートメントの消費割合ごとに予算アラートを複数の担当者にアラート通知することが可能であるか確認します。

前提

  • OCIのコスト管理サービスを利用できる権限を有していること

予算を作成する

コンパートメントの消費割合ごとにアラート通知する予算を以下の手順に従い作成します。

  1. ハンバーガーメニューから「請求とコスト管理」をクリックします。「コスト管理」で、「予算」をクリックします。
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  2. 「予算の作成」をクリックします。
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  3. 予算範囲を「コンパートメント」に設定し、任意の名前と説明、該当のコンパートメントを選択します。そして、予算額と予算処理を行う日付を選択します。その後、「作成」をクリックします。
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※アラートルールは後ほど追加します。
※今回は予算額を少額にしていますが、1円から999,999,999,999円まで設定が可能です。
※スケジュールで「カスタム(臨時)」を選択した場合は、任意の期間を選択することができますが、開始日および終了日を編集できるのは予算がアクティブになる前に設定しなければいけません。

アラートルールの追加

先程作成した予算にアラートルールを追加し、消費割合ごとに通知を行うようにします。

  1. 作成した予算の詳細画面から「予算アラート・ルールの作成」をクリックします。
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  2. しきい値のメトリックを「予測支出」、しきい値のタイプを「予測の比率」に設定した以下の3つのルールを追加し、複数のメールアドレスを通知先に登録します(複数の担当者に通知が届くすることを想定)。なお、「しきい値のメトリック」と「しきい値のタイプ」の違いは以下の通りです。

    • しきい値のメトリック
      • 実績支出:月ごとにコンパートメントで費やした実際の金額を監視し、超えた場合に警告
      • 予測支出:予測アルゴリズムを用いてリソースの使用量を監視し、予算を超えると思われる場合に警告
    • しきい値のタイプ
      • 予算の比率: 月次予算の比率
      • 絶対金額: 固定の金額

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  1. 3つのルールが追加されていることを確認し、予算の消費を待ちます。
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通知の確認

今回は、しきい値のメトリックを「予測支出」に設定しているため、実際に予算が到達していなくても、現在の利用状況から予測して、予算額に到達しそうな場合でも、メールにアラート通知されます。
以下が実際のアラート通知の例です。
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今回は予算額を100円としたため、予算額に到達していますが、「Forecast」という形でアラート通知されているため、この予算額にまだ到達していなくても、予測に基づいてアラート通知されます。
また、上記の「アラートルールの追加」では複数のメールアドレスを設定しましたが、こちらも複数のメールアドレスで受信できていることを確認出来ました。

補足

予算サービスのアラートは、ファンクションやイベント・サービスとも連携が可能です。そのため、予算サービスのアラート機能を利用せず、ファンクションを利用してサードパーティーツールへ通知するなどという運用も可能です。

おわりに

本記事では、OCIにおけるコスト管理サービスについて簡単にまとめ、予算サービスを活用して、消費割合ごとに複数の担当者に通知することを試みました。クラウドサービスでは、意図せず高額な利用料金の請求がされてしまうことがあります。しかし、毎日コストを確認するわけにはいかないため、今回紹介した予算サービスなどをうまく活用し、快適なOCIの利用をしていただけますと幸いです。

参考情報

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