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MySQL8.0のWindow関数を分かりやすく紹介する(1.「集計関数×Window関数」のコラボ)

はじめに

MySQL8.0がリリースされたことにより、Window関数の利用が可能になりました。
Oracle、PosgreSQL、SQL Server等でも利用できる関数ですが、「難しそう」、「どういう場合に使えば良いかわからない」というイメージを持たれている方もいると思いますので、この記事ではシンプルにどのようなことが出来るのかを紹介します。

第一弾は、「集計関数×Window関数」のコラボです。
集計関数とは、MAXやSUMやAVG等のデータを集計する関数ですが、実はほどんどの集計関数がWindow関数として利用できます。集計関数の種類やWindow関数として利用可能かという点に関しては、以下のリファレンスに記載されておりますので、参照頂ければと思います。

MySQL 8.0 リファレンス マニュアル 14.19.1 集計関数の説明

データ準備

検証用に1つのテーブルを作成し、テストデータを投入します。
テーブル構成としては、「年」、「国」、「商品」別の利益データを管理しています。

Window関数を使ってみる

Window関数を利用する/しない場合でSQL文はどうなる?

以下は集計関数を利用して、country毎のprofitの合計、平均、最大、最小、件数を出力した結果になります。
SELECT * FROM sales;の出力結果に対して、以下の集計関数の出力結果を付け足したい場合はどうすれば良いでしょうか?

まずWindow関数を利用しない場合の確認から行います。
以下のように自己結合を利用することで想定結果は得られましたが、「もっとシンプルにSELECT文が書けないのかな・・・」と思われた方は、次に紹介する方法を試してください。

次にWindow関数を利用した場合の確認です。
以下のSELECT文を見て頂くとシンプルな記述になっていること、SUM等の集計関数の後ろにOVER句があることがわかると思います。実はOVER句がある場合は、Window関数と呼ぶことができ、OVER句がなければただの集計関数であるという意味になります。

もう少し深く見ていくと、OVER句の後ろにPARTITION BY句があります。このPARTITION BY句はレコード分割の単位を指定しています。以下のようにPARTITION BY countryと指定することでcountry毎に区切って、profitの合計、平均、最大、最小、件数を出力することができます。

名前付きWindowってなに?

先ほど紹介したWindow関数を利用したSELECT文では、country毎に区切って集計するためにOVER(PARTITION BY country) と指定しましたが、何回も同じ記述をしているので気になりますね。
ここで登場するのが「名前付きWindow」です。WINDOW句にOVER句の中身を記載し別名を付けて定義することで、OVER句から参照できます。 以下の例を参照してください。

名前付きWindow」を利用することで、さらにシンプルなSELECT文になったと思います。
この記事を見て「思ったより簡単そう」、「今度利用してみよう」と思って頂けると幸いです。

最後に「名前付きWindow」を複数定義したケースを紹介したいと思います。

country毎、year毎に集計したSELECT文になります。
上記のように「名前付きWindow」を複数定義する場合は「,」で区切って記述します。OVER句から参照する場合も別名を記述するだけで良く便利で、わかりやすいですね。

まとめ

Window関数を利用することで、SQLがもっと簡単に記述できる可能性があります。
今回紹介した例はほんの一部ですが、この機会に興味をもって利用頂けると幸いです。

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