先週の弊社ブログで、Oracle Cloud Infrastructure の東京リージョンに関する記事を公開しました。
また、同じくして 5/13 にソウルリージョンも開設されて、アジア圏にも注力しているのは、うれしい限りです。
現時点では東京リージョンもソウルリージョンも、可用性ドメインは一つしかありません。
また、全てのサービスが使用できる訳ではないので、システム内でもリージョンを跨いでサービス連携するようなケースが発生する事もあるかと思います。
(東京リージョンで使用可能なサービスについては、こちらをご参照下さい。)
今回は、東京リージョンと Oracle Cloud Infrastructure で使用可能な各リージョン間のネットワーク通信のスループットを簡易的に検証したので公開したいと思います。
検証環境
- 各リージョンに COMPUTE インスタンスを配置します。
- COMPUTE インスタンスのシェイプは
VM.Standard2.1
を使用し、OSはCentOS7としています。 - 東京リージョンと各リージョンの仮想クラウド・ネットワーク(VCN)は、リモートピアリングで接続します。
(東京リージョン – 東京リージョン間は同一の VCN 内に配置します。) - 対象リージョンには、現時点の Oracle Cloud Infrastructure で使用可能なリージョン全てとします。
リージョン | リージョン名 |
---|---|
東京(日本) | ap-tokyo-1 |
アッシュバーン(アメリカ) | us-ashburn-1 |
フェニックス(アメリカ) | us-phoenix-1 |
フランクフルト(ドイツ) | eu-frankfurt-1 |
ソウル(韓国) | ap-seoul-1 |
ロンドン(イングランド) | uk-london-1 |
トロント(カナダ) | ca-toronto-1 |
検証方法
1. ping
東京リージョンの COMPUTE インスタンスから、各リージョンの COMPUTE インスタンスに以下の ping コマンドを実行し、応答時間の平均値で比較します。
1 |
ping -c 10 xxx.xxx.xxx.xxx |
2. iPerf
東京リージョンの COMPUTE インスタンスと、各リージョンの COMPUTE インスタンスとで iPerf3 を使用し、ネットワークスループットを30秒間計測して比較します。
1 |
iperf3 -c xxx.xxx.xxx.xxx -t 30 |
3. オブジェクトストレージへのファイルアップロード
各リージョンから東京リージョンの オブジェクトストレージ へ Oracle Cloud Infrastructure Command Line Interface を使用して 500MB のファイルをアップロードし、コマンド実行にかかった時間を計測して、比較します。
1 2 |
dd if=/dev/zero of=testfile bs=1M count=500 time oci os object put --bucket-name tkBucket --file ./testfile --name testfile |
検証結果
1. ping
リージョン | 平均応答時間(milli second) |
---|---|
東京 | 0.199 |
アッシュバーン | 169.774 |
フェニックス | 132.585 |
フランクフルト | 263.949 |
ソウル | 36.523 |
ロンドン | 254.383 |
トロント | 145.849 |
2. iPerf
リージョン | スループット(Mbits/sec) |
---|---|
東京 | 998 |
アッシュバーン | 137 |
フェニックス | 195 |
フランクフルト | 83 |
ソウル | 704 |
ロンドン | 92 |
トロント | 162 |
COMPUTE インスタンスが VM.Standard2.1
の場合は、ネットワーク帯域幅が 1Gbps とされているので、東京リージョン同士であれば、ほぼMAXのスループットが出ています。
3. オブジェクトストレージへのファイルアップロード
リージョン | アップロード時間(second) |
---|---|
東京 | 10 |
アッシュバーン | 36 |
フェニックス | 26 |
フランクフルト | 50 |
ソウル | 15 |
ロンドン | 49 |
トロント | 30 |
まとめ
ネットワークについては、どうしても物理的な距離が絡んでくるので、想定通りという方もおられるのではないでしょうか。
Oracle Cloud でリージョン間でのサービス連携を検討されている方の参考になれば幸いです。