Oracle AIとは?価格・特徴・導入メリット・注意点についてわかりやすく解説

本記事では、Oracle AIの特徴・料金・メリット・活用例を、Oracle公式情報を踏まえて体系的にまとめています。初めてOracle AIを調べる方でも、“何ができて、他社と何が違うのか” が 5分で理解できます。

目次

Oracle AIとは何か(概要と結論)

Oracle AIとは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上で提供される 企業向けAIサービスの総称 です。
生成AI・エージェント・AIデータ活用・画像/音声処理など、AI導入に必要な機能を クラウド上で統合的に提供 します。

OracleはAIをひとつの単体サービスとして提供しているのではなく、
「AIを使う」「AIをアプリに組み込む」「AIモデルを管理する」「企業データでAIを強化する」
という複数レイヤーを包括したプラットフォームとして位置づけています。

企業はこれにより、

  • 生成AIの導入
  • RAG(検索拡張生成)
  • AIチャットボット
  • コールセンター支援
  • ドキュメント自動分類
  • 音声認識・画像分析

など、幅広いユースケースを 安全かつスケーラブルに 実現できます。

Oracle AIの主要サービス(体系的に理解)

Oracle AIのサービス群は、次の2系統に分けて考えると整理しやすくなります。

  • 生成AI・エージェント系(Generative AI & AI Agents)
    └ LLMを使った生成AI基盤や、エージェントによる業務自動化レイヤー
  • AI Services(用途特化API)
    └ テキスト/音声/画像/ドキュメント向けの事前学習済みモデル群

Oracle公式サイトでも「OCI Generative AI」「OCI AI Agent Platform」「OCI Digital Assistant」などの生成AI系と、「Language / Speech / Vision / Document Understanding」といったAI Servicesが並んで紹介されており、本記事でもこの切り口で整理していきます。

① 生成AI・エージェント系

企業が「AIで業務プロセスを自動化する」ときの中核になるレイヤーです。
LLMそのものを提供する“基盤”から、ワークフローを実行する“エージェント”まで含みます。

OCI Generative AI(生成AIサービス)

OCI Generative AIは、Cohere Command、Meta Llama 3、Google Gemini、OpenAI、xAI Grokなど複数の大規模言語モデル(LLM)を、OCI上のマネージドサービスとして提供する生成AI基盤です。モデルはAPI経由で呼び出せるため、アプリケーションに組み込みやすいのが特徴です。

  • APIでLLMを簡単に利用できる
  • 専用クラスターやプライベートエンドポイントに対応し、企業向けのセキュアな環境を構築可能
  • Embeddingエンドポイントを備え、RAG構成との連携に適している
  • 従量課金(トークン/文字数・リクエスト単位+クラスター時間課金)でスケールしやすい

また、お客様データは他の顧客向けモデルの学習に利用されないことがOracleのプライバシーポリシーで明示されており、企業利用を前提とした設計になっています。

OCI AI Agent Platform

OCI AI Agent Platformは、LLM・RAG・外部ツールを組み合わせて「AIエージェント」を構築・運用するための基盤です。

  • LLM+RAG+ツールオーケストレーションで、複雑なマルチステップ処理を自動化
  • Enterpriseデータベースやアプリケーションに対して、自然言語から問い合わせ・処理実行を行うエージェントを作成可能
  • Oracle DatabaseやFusion ERP/HCM/CXなどのOracle製品群との統合を前提に設計されており、業務システムと連携したエージェントを構築しやすい

例としては、以下のようなエージェントが考えられます。

  • 営業担当向けの提案支援エージェント
  • 経理業務の自動化エージェント
  • ナレッジベースに対する問い合わせ対応エージェント など

OCI Digital Assistant(対話型UIレイヤー)

OCI Digital Assistantは、自然言語で会話できるチャットボット/音声アシスタントを構築するためのPaaSです。

  • GUI中心で、ほぼコードを書かずに業務チャットボットを構築可能
  • Oracle SaaS(ERP / HCM / CXなど)向けのプリビルトスキルが用意されている
  • Webサイト、モバイル、Slack、Microsoft Teams など複数チャネルに展開可能

AI Agent Platformが「裏側のエージェントやワークフローのオーケストレーション」を担うのに対し、Digital Assistantはエンドユーザーとの会話UIレイヤーにフォーカスしたサービスという位置づけです。

② AI Services(用途特化API)

AI Services は、用途に特化した事前学習済みモデルをREST APIで提供するサービス群です。
AIの専門知識がなくても、テキスト・音声・画像・書類の分析機能をアプリケーションに組み込めます。

OCI Language(自然言語処理)

テキスト分析に特化したNLPサービスで、以下のような機能を提供します。

  • 感情分析(ポジティブ/ネガティブ等)
  • テキスト分類
  • エンティティ抽出(人名・組織・場所など)
  • キーフレーズ抽出
  • 要約
  • 翻訳・言語判定

日本語を含む多言語に対応しており、問い合わせログ・レビュー・社内文書などの分析や、カスタム分類モデルによるチケットの自動振り分けなどに活用できます。

OCI Speech(音声認識/音声合成)

OCI Speechは、音声・動画ファイルからの文字起こし(Speech to Text)と、テキストから自然な音声を生成するText to Speechを提供するサービスです。

  • 高精度な音声→テキスト変換
  • 英語・日本語など複数言語に対応(モデルタイプを選択)

コールセンターの通話ログ分析、字幕生成、音声インターフェースのバックエンドなどに利用できます。
※「フィラー(えー、あのー)除去」については公式に明示されていないため、本記事では触れない方が安全です。

OCI Vision(画像認識)

OCI Visionは、画像・動画を解析するコンピュータビジョンサービスです。

提供される主な機能は次の通りです。

  • 画像分類
  • 物体検出
  • 顔の検出(個人識別というより「顔を含む領域の検出」)
  • OCR(画像からの文字検出・抽出)

ユースケースの例:

  • 製造業における不良品検査
  • 監視カメラ映像からの異常検知
  • 小売店舗の棚画像から在庫状況を把握
  • 医療画像の解析補助 など

OCI Document Understanding(ドキュメント解析)

OCI Document Understandingは、PDFやスキャン画像からテキスト・テーブル・キー項目などの情報を抽出するAIサービスです。

  • 文書レイアウトやテーブル構造を認識し、
    テキストや行・列の関係性を保持した形で抽出
  • 請求書・レシート・身分証などの書類から
    金額・日付・名前などのキー項目を自動抽出

代表的な活用例:

  • 契約書からの条項・金額条件の抽出
  • 請求書の自動入力・仕訳の前処理
  • 社内文書の自動タグ付け・メタデータ付与

こうして抽出されたテキストや構造化データは、その後ベクトル検索やRAGパイプラインに渡して利用されるケースも増えています。

Oracle AIの特徴(AWS/Azure/GCPとの違い)

Oracle AI は、AWS / Azure / GCP と比較すると 「データベース × AI の統合」「RAG基盤」「企業向けセキュリティ」「コスト効率」「業務アプリへの組み込み」
を強みとして打ち出しているエンタープライズ志向のAIプラットフォームです。

クラウド各社のAIサービスは一見似ていますが、Oracleは”企業データを中心にAIを活用する”という設計思想が強く、多くの企業情報がデータベース上に蓄積されている環境と相性が良い点が差別化ポイントになります。

データベース × AI の統合が際立ってる

Oracle AI を語るうえで最大の特徴は、AI機能がデータベース(Oracle AI Database 26ai)にネイティブ統合されている点 です。

AWSやGCPでは、

  • ベクトルDB(OpenSearch、DynamoDB、Pinecone等)
  • LLM推論(Bedrock / Vertex AI)
  • データ(RDS / BigQuery)

これらが別サービスとして組み合わせる設計になることが多いため、RAG構築には複数サービスを連携させる必要があります。

一方で Oracle は、

✔ Oracle Database 内に AI Vector Search がネイティブ搭載

✔ SQL + ベクトル検索を1DBで実行

✔ 構造化・非構造化データを一元管理

✔ LLM連携(OCI Generative AI)とDB統合が高速

つまり、

Oracle Database 26ai では、AI Vector Search や SELECT AI により、

「データの保存・検索・LLM 連携」までを 単一のデータベースから一体的に扱える よう設計されています。

これにより、RAG 構成に必要なコンポーネントを Oracle Database を中心にシンプルにまとめやすい点が、他クラウドと比較して大きな特徴です。

これは特に、

  • マニュアル/設計書/FAQ
  • 顧客データ
  • ナレッジデータベース

 など企業特有のデータを扱う際に大きな強みとなります。

RAG 構築がDB内で完結しやすい

一般的なRAG構成では、

  • Embedding生成
  • ベクトルDB
  • ストレージ
  • LLM推論
  • 前処理パイプライン

を個別に設計する必要があります。

しかし、Oracle Database 26ai は次のようにRAG用の機能がDB内に統合されています。

  • Embedding生成(DB拡張でサポート)
  • ベクトル格納・検索(AI Vector Search)
  • JSON/全文検索/ベクトルを組み合わせたハイブリッド検索
  • SELECT AI で LLM(OCI Generative AI)を直接呼び出し

つまり、RAGに必要な重要コンポーネントをデータベースを中心に完結させやすい設計になっています。

これは、

  • マニュアル / 設計書
  • FAQ / ナレッジベース
  • 顧客データ 

など、企業の非構造化データ・構造化データが混在する環境で特に効果を発揮します。

企業データが学習されないセキュリティモデル

Oracle AI は “Enterprise-Grade Security” を掲げており、
特に生成AIにおいては 企業データがモデル学習に使われない ことが強調されています。

AWS Bedrock や Azure OpenAI などと同様に、OCI Generative AI も「カスタマーデータを他社モデルの学習に使わない」「暗号化された形で扱う」ことを公式に明示しています。

そのうえで Oracle は、VCN 経由のプライベートアクセスや Fusion アプリの権限モデルとの統合、OCI Logging / Audit による監査ログなど、既存の Oracle 基盤と一体化したセキュリティ運用が取りやすい点を特徴として打ち出しています。

GPUコストが比較的安い(Supercluster)

Oracleは、OCI Supercluster(NVIDIA H100/A100搭載)が高性能かつコスト効率に優れていると主張しています。具体的な価格比較については、Oracle公式のコスト見積もりツールでご確認ください。

✔ OCI Supercluster(NVIDIA H100/A100)が世界的に高評価

✔ RDMAネットワークで低レイテンシ

✔ HPCワークロード(AI学習)に特化

✔ AWS/Azure/GCP より低価格なケースが多い

AIスタートアップや研究機関が “学習コスト削減のためにOCIへ移行” するケースが選択肢として注目されています。

参照:AIインフラストラクチャ・クラウドのコスト比較: 最適な価値を提供するのは?

業務アプリ(ERP/HCM)にAIが標準搭載

Oracle は、Oracle Fusion Cloud ERP/HCM/SCM/CX や NetSuite など、自社の業務アプリケーションに生成AI・AIエージェントを標準機能として組み込んでいる点が特徴です。これらの AI 機能の多くは、Fusion Cloud Applicationsのサブスクリプションに標準で含まれており、追加実装なしで利用できます。ただし、ライセンス構成や一部の高度な機能については、詳細を営業担当にご確認ください。

同様に、Microsoft も Azure と同一グループのサービスとして Dynamics 365(ERP/HCM/SCM/CRM) に AI を組み込んでいますが、

AWS や Google Cloud は自社製 ERP/HCM を持たず、主に SAP や Oracle などのパートナー製アプリとの組み合わせで AI を提供しています。

 

Oracle AIでできること(ユースケース)

Oracle AIは、生成AI・AIデータベース・AI Servicesを中心に、企業の多様な業務を高度化するための幅広いユースケースを提供しています。とりわけ、企業内部に蓄積した膨大なドキュメントやナレッジを「業務で使える形」に変換する領域で強みを発揮します。ここでは、実際の現場で特に効果が大きい代表的な活用シナリオを、流れのある形で紹介します。

ナレッジ検索(RAG)やFAQの自動化

多くの企業では、マニュアル・仕様書・議事録・FAQ・社内チャットログなど、膨大な情報がバラバラに保存されており、「ほしい情報がすぐに見つからない」という課題が常に存在しています。

Oracle AIでは、Oracle AI Database 26aiに組み込まれたAI Vector SearchとOCI Generative AIを組み合わせることで、これらの情報をベクトル化し、意味的に検索しながら回答を提示するRAG(検索拡張生成)システムを構築できます。これにより、エンジニアが技術文書を高速検索したり、サポート担当者が過去の対応履歴から最適な回答を瞬時に引き出したりすることが可能になり、現場の生産性が大幅に向上します。

営業・カスタマーサポートの支援

営業活動やカスタマーサポートでは、膨大な顧客情報や問い合わせ内容を処理し、最適な対応を迅速に行うことが求められます。Oracle AIは、メールや商談ログの要点抽出、顧客の属性に応じた提案文書のドラフト作成、問い合わせ内容の分類と優先度付けなどを自動で行えるため、担当者は本来重要な「顧客との対話」へ集中できます。

特にOracle Fusion Cloud Applicationsと組み合わせた場合、ERP・CRMに蓄積されるデータとAIが連動し、売上予測や次のアクション提案、書類作成の自動化などが“標準機能”として利用できるため、営業全体の業務効率が一段と高まります。

文書処理の自動化(契約書・請求書・報告書など)

企業にとって、紙やPDFの文書を読み取り、内容を理解し、必要情報を抽出する作業は膨大な負担になりがちです。Oracle AIのDocument UnderstandingやLanguageサービスを活用すれば、契約書の条項抽出、請求書の読み取り、報告書の要約、技術文書の分類など、これまで人手に頼っていた知識労働をAIが自動化します。

OCRと自然言語処理が連携して動作するため、単なる文字起こしではなく「文書を理解する」処理が可能になり、バックオフィス業務の負荷削減に直結します。

音声認識と通話内容の分析

コールセンターや会議録の処理では、音声データの扱いが課題となります。OracleのSpeechサービスは、通話音声を高精度でテキスト化し、さらにその内容を要約したり、感情分析を行ったりすることができます。問い合わせ内容の傾向分析やオペレーター評価の自動化など、これまでは手作業で行うしかなかった分析がAIによって効率化されます。

また、会議音声を自動で議事録化し、後から参照しやすい形にまとめるなど、ホワイトカラー業務の効率化にも大きな効果があります。

画像認識を用いた現場業務のDX

画像認識AI(OCI Vision)は、製造ラインの外観検査、小売店舗の棚在庫管理、監視カメラ映像の解析、医療の補助診断など、現場業務における高度な自動化に役立ちます。製造や物流などの現場ではカメラ映像が主なデータソースになるため、Visionを使った“不良品の早期検知”や“棚ごとの在庫状況の自動把握”など、業務の精度向上と省力化を同時に実現できます。

多言語対応によるグローバル業務の標準化

OCI Languageの多言語対応AIと生成AIを組み合わせることで、英語・中国語・スペイン語など50以上の言語の文書を自動で翻訳し、要点を抽出することが可能です。国ごとに異なる問い合わせ内容を統一した形式で整理したり、海外チームを含むプロジェクトの文書を一元管理したりと、グローバル企業が抱える“言語の壁”を取り払うことができます。

まとめ:企業内の“知的労働”をAIで最適化するのがOracle AIの本質

Oracle AIのユースケースは非常に幅広いですが、核心は「企業内に存在する膨大なデータを、意思決定や業務自動化に役立てる」という点にあります。特に、文書・音声・画像のような非構造化データを業務に活かせる形に変換する領域での強みは、他社クラウドと比較しても明確です。

この特性により、Oracle AIは製造・金融・小売・IT・人事・営業など、部門を問わず幅広い業務の高度化に貢献します。

 

Oracle AI価格体系と料金プラン

Oracle AIの料金体系は、AWSやAzureなどと同じく「使った分だけ支払う従量課金モデル」が中心です。ただし、AIサービスの利用状況や組み合わせ方によって費用構造が大きく変わるため、全体像を正しく理解しておくことが重要です。

Oracleの場合、AI関連の料金は大きく次の3つのレイヤーで構成されます。

  1. 生成AI(OCI Generative AI)のトークン課金
  2. AI Services(Language/Speech/Vision/Document Understandingなど)のAPI課金
  3. 基盤サービス(Storage/Oracle Database/Compute)を利用する場合のクラウド利用料

これらを踏まえたうえで、主要な料金体系をわかりやすく解説します。

生成AI(OCI Generative AI)の料金:トークンベースの従量課金

OCI Generative AI は Meta Llama 3 や Cohere Command、Mistral などの大規模言語モデル(LLM)を利用できるサービスで、
料金は 「入力トークン数 × 単価」+「出力トークン数 × 単価」 のシンプルな計算方式です。

OCI Generative AIはトークンベースの従量課金制で、使った分だけ支払う仕組みです。社内業務の自動化やナレッジ検索などで高頻度に利用する場合は、専用AIクラスターの利用により予測可能な料金プランを選択することも可能です。

AI Servicesの料金:API利用回数による従量課金

OCI Language、OCI Speech、OCI Vision、OCI Document Understandingといった用途特化型AIサービスは、APIリクエスト(呼び出し回数)に応じて課金されます。

たとえば、

  • テキスト分類
  • OCR(文字抽出)
  • 画像解析
  • 音声の文字起こし

など、1回のリクエストごとに課金される仕組みです。

これらのサービスは「モデルを自社で管理する必要がない」点が大きな利点で、固定費が発生しないため、必要なときに必要なだけ使うという柔軟な利用が可能です。

特に、文書処理や音声認識など特定用途に限ったAI活用を始めたい企業にとって、導入ハードルが非常に低いと言えます。

Fusion Cloud ApplicationsのAI機能は“追加費用なし”で利用できる場合が多い

Oracleの大きな特徴のひとつに、ERP・HCM・CX といった Fusion Cloud Applications(SaaS)に AI機能が標準搭載されている点があります。

  • 自動仕訳
  • 請求書処理の自動化
  • 営業の次アクション提案
  • 採用候補者のマッチング
  • レポート生成

これら多くの機能は、SaaSライセンスに含まれており、追加料金なしで利用できるケースが非常に多いため、クラウドERP/HCM導入企業にとっては大きなメリットとなります。

基盤サービス(インフラ部分)のコストが別途発生

Oracle AIを活用する際は、AIだけでなく、以下のクラウドサービスの利用料金が発生する場合があります:

  • Oracle Database / Autonomous Database
  • オブジェクトストレージ
  • コンピュート(GPU/CPU)
  • ネットワーク転送

たとえば RAG システムを構築する場合、

  • Oracle AI Database(AI Vector Search)でベクトル格納・検索
  • OCI Generative AIで回答生成
  • オブジェクトストレージに元文書やログを保存

といった構成が一般的で、「AI Database の利用料+生成AI利用料+インフラ(DB/Storage/Compute)の利用料」を合計したものがトータルコストになります。

具体的な金額はアーキテクチャやデータ量によって大きく変わるため、実際の試算には Oracle 公式の Cost Estimator や Pricing Calculator を使うのが確実です。

無償利用枠(Always Free)と30日間トライアル

Oracle Cloudには、AI導入を検討する企業のために、非常に使い勝手の良い無料枠が用意されています。

Always Free(永続無料)

  • 小規模なAutonomous Database
  • オブジェクトストレージ
  • 一部AI Services

などが、上限内であれば期限なく利用できます。

Free Trial(新規ユーザー向け)

  • 300ドル相当のクレジット
  • 30日間すべてのAIサービスを試せる

検証段階の企業でも、RAGのプロトタイプやAIエージェントの動作確認を十分に行えるため、導入前の評価が進めやすいのが特徴です。

Oracle AIの価格を最適化するポイント

Oracle AIは柔軟な課金体系を持つ一方で、利用方法によってはコストがかさむこともあります。価格最適化のためには、以下のような観点が有効です。

  • トークン消費の大きいLLMを必要以上に使わない
  • Embedding生成を適切なバッチ処理にする
  • RAGのデータ範囲を絞る
  • Fusion Cloud ApplicationsのAIをフル活用する(追加費用なし)
  • GPUの常時稼働を避け、必要な時だけ起動する

特にRAG構築時の“Embedding生成の効率化”はコストに直結するため、設計段階から意識しておくことが重要です。

まとめ:用途に応じて柔軟にコストをコントロールできるAI基盤

Oracle AIの料金体系は一見複雑に見えますが、

  • LLMはトークン課金
  • AI ServicesはAPI課金
  • FusionのAIは多くが追加費用なし
  • DBやストレージは利用した分だけ課金
  • 無料枠で十分に検証可能

というシンプルな構造に整理できます。

AIの使い方・アーキテクチャ次第で最適なコスト構成は変わりますが、Oracleはエンタープライズ向けの長期運用を前提に、ボリューム利用時のコストメリットや、SaaSへのAI組み込みによる“追加費用なし”の価値提供を重視した料金設計になっています。

Oracle AI導入のメリット

Oracle AI導入により、企業は業務効率化から競争力強化まで、幅広いメリットを享受することができます。特に、既存のITインフラストラクチャとの親和性と統合性において、他社サービスにはない独自の価値を提供しています。

AIエージェントプラットフォームによる業務効率化

Oracle AIのAIエージェントプラットフォームは、営業・人事・経理などの業務を自動化し、効率化を実現します。顧客情報分析や提案書作成、採用プロセスや評価支援、財務分析と予測レポート作成を自動化でき、Fusion Cloud Applicationsに統合されているため既存フローを大きく変える必要がありません。その結果、従業員は戦略的な業務に集中でき、生産性向上とコスト削減を両立できます。

Autonomous Database活用による高度な分析機能

Oracle Autonomous Databaseと連携することで、機械学習によるパターン発見、予測分析、異常検知がデータベースレベルで自動実行されます。自動チューニングにより常に最適なパフォーマンスを維持でき、リアルタイム意思決定や業務最適化を実現し、企業の競争力を強化します。

セキュリティとガバナンス機能の強化

Oracle AIは、企業向けにセキュリティとガバナンスを重視した機能を標準提供しています。データの暗号化・アクセス制御・監査ログの自動取得に加え、学習データや推論結果への細かな権限管理が可能です。さらに規制遵守を支援する仕組みを備えており、金融・医療など厳格なコンプライアンスが求められる業界でも安心して利用できます。

多言語対応AIサービス基盤の活用

Oracle AIは100以上の言語を検出し、30言語間で翻訳できるため、翻訳精度の高い多言語コミュニケーションを支援します。これにより、多言語での顧客サポート自動化、グローバルチームの情報共有、国際企業の業務標準化など、グローバル展開における課題解決を可能にします。

Oracle AI導入時の注意点と課題

Oracle AIの導入においては、多くのメリットがある一方で、事前に検討すべき注意点や課題も存在します。適切な計画と準備により、これらの課題を最小限に抑えることが可能です。

ライセンス体系の理解と選択

Oracle AIのライセンスは複雑で、利用規模や要件に合わせた適切なプラン選択が不可欠です。従量課金では利用増加によるコスト膨張リスクがあるため、予測と上限設定が重要となります。また、Fusion Cloud Applicationsに含まれるAI機能と追加契約が必要なサービスを明確に区別する必要があり、監査対応の課題になる可能性もあります。そのため、導入前に専門家や認定パートナーと相談し、長期的視点で最適なライセンス構成を決めることが推奨されます。

技術支援体制(サポート)の確認

Oracle AIを効果的に活用するには、適切な技術支援体制が欠かせません。標準サポートで基本対応は可能ですが、カスタムモデル開発や複雑な統合には専門的支援が必要です。日本語対応の有無、緊急時対応、オンサイト支援など自社要件に合ったサポート選択が重要であり、さらに社内技術者向けの研修や認定制度を活用して内製運用力を高めることが長期的成功につながります。

システム要件と既存インフラとの適合性

Oracle AI導入時には、既存のITインフラストラクチャとの適合性を慎重に評価する必要があります。特に、ネットワーク帯域幅、セキュリティポリシー、データ統合要件などが導入後のパフォーマンスに大きく影響します。オンプレミス環境との統合では、適切なネットワーク設計とセキュリティ設定が必要で、場合によってはインフラストラクチャの大幅な見直しが必要となることもあります。また、既存のアプリケーションやデータベースとのAPI連携において、バージョン互換性やパフォーマンス影響を事前に検証することが重要です。

フリークレジット評価期間の効果的な活用

Oracle AIのフリークレジット評価は、300ドル分/30日間に限定されるため、効率的な計画が必須です。重要機能の優先検証、テストデータ準備、評価基準の明確化を事前に行い、短期間で最大限の成果を得る必要があります。また、評価中に見つかった課題や改善点は、本格導入前に解決策や追加支援を検討することが推奨されます。

 

Oracle AIを“実務で使うための基盤”を OCI に構築しませんか?

AI Ready Platform on OCI は、Oracle Database 26ai、AI Vector Search、Object Storage を組み合わせ、 AIが使えるデータ基盤(AI Ready基盤)を OCI 上に構築するサービスです。

・文書データの取り込み/前処理
・Embedding/ベクトル格納
・RAG検索構築
・OCI Generative AI との連携
・セキュアなクラウド構成

AI導入を「小さく始めて確実に効果を出す」ための最適なスタート地点としてご活用いただけます。

>>>サービスの詳細を見る(資料DL・導入相談はこちら)

まとめ

Oracle AIは、企業が持つ膨大なデータを、実際の業務改善につながる形で活用できるよう設計された統合AI基盤です。生成AI・AI Services・Oracle Database を組み合わせることで、ナレッジ検索、文書処理、問い合わせ対応、予測分析など、幅広い業務を効率化できます。

とくに、「企業データ × AI」 という領域での強さは際立っており、既存のIT資産を生かしながらAI導入を進めたい企業にとって、有力な選択肢となります。まずは無料トライアルを活用し、自社データで小さく検証するところから始めるとよいでしょう。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次