HeatWavejp Meetup #10
HeatWaveのTipsLT大会&Oracle Cloudworld 2024現地参加レポート
会場の様子
2024年10月17日(木)にMySQL HeatWave ユーザーコミュニティ第10回イベントを開催しました。
HeatWavejpは、MySQL HeatWave の良さを知っていただき、参加者同士でノウハウやナレッジを共有できるユーザーコミュニティです。
今回のイベントレポートは、スマートスタイル技術部の笠原が担当します。
オープニング&HeatWave 概要
登壇者:内藤 達也(スマートスタイル)、山﨑 由章 氏(HeatWavejp)
まずはHeatWavejpの内藤さんからのご挨拶です。
オープニングでは今回はこれまでのHeatWavejpと異なり、なんとOracle社様にて作成いただいたイベントのオープニング映像が流れました。HeatWavejpのイベント概要がよくわかり、これからのイベント参加が楽しみとなるような映像でした。
今回流れたオープニング映像はYouTubeでも公開されていますので、以下リンクよりぜひご覧ください。
HeatWavejp – MySQL HeatWave Japan User Group
今回のテーマは「HeatWaveのTipsLT会&Oracle CloudWorld 2024現地参加レポート」ということで、さまざまなHeatWave関連情報のキャッチアップができると期待が高まりました。
また、HeatWavejpの山崎さんから、初めて参加される方向けにHeatWaveの概要説明をしていただきました。
OracleCloudworld 2024 現地参加レポート #HeatWave
登壇者:内藤 達也 氏 (スマートスタイル)
HeatWavejpの内藤さんより、「Oracle CloudWorld 2024の現地参加レポート」と題して、今年9月に開催されたOracle CloudWorld 2024の様子やイベント内で発表されたHeatWaveの情報について発表いただきました。
Oracle CloudWorldはアメリカで開催されるイベントで、Oracle製品に関する最新情報の発表などが行われます。今年はラスベガスで行われており、内藤さんよりラスベガスの街並みを写真とともに紹介いただきました。
Oracle製品全般の最新情報ピックアップとして、Oracle Database@AWSの発表があり、AWSでもOCI(Oracle Cloud Infrastructure)で実行されるOracle Databaseサービスを利用できるようになることが挙げられていました。OCl以外のクラウドとの連携にも活発に取り組んでいることから、Oracle 社はマルチクラウド戦略に力を入れていることがよくわかります。
HeatWave関連のセッションについては、内藤さんは全13セッション中8本に参加されたとのことです。
HeatWaveの大きな変更等の発表はなかったものの、今年6月にリリースされたHeatWave GenAIに関する発表が多かったようです。HeatWave GenAIはAIの知識がなくてもAIアプリケーションの開発ができ、OCl上のHeatWaveだけでなく、MySQL HeatWave on AWSでも利用できる等、「生成AIやるならHeatWaveでしょう!」といった画期的な機能です。Oracle CloudWorld 2024内のセッションでも強く推されている機能で内藤さんからの説明から感じ取れました。
HeatWave関連のセッションで、ユーザー事例の発表にて様々な事例紹介がありましたが、HeatWavejp Meetup #05~年忘れ MySQL HeatWave 事例祭り & オフライン忘年会もあるよ!でも事例発表いただいたAiwifi社の事例も紹介されていたようです。
また、内藤さんはOracle CloudWorld 2024イベント内でHeatWavejpの宣伝活動や、関係者との意見交換も行っていたようであり、交流した一人にOracle社のチーフ・コーポレート・アーキテクトであるエドワード・スクリーベン氏とも偶然会えたようです。意見交流や宣伝の効果もあってか、先日クラウドWatchにて公開されたエドワード・スクリーベン氏のインタビュー内でHeatWavejpについて取り上げていただきました。インタビュー記事は以下から読むことができますので、ご参照いただけばと思います。
オラクル、インデータベースLLMを採用した「HeatWave GenAI」を説明し競合優位性を強調
Oracle CloudWorld 2024は今年も盛り上がり、またHeatWaveに関しても盛り上がってきていることがよくわかりました。
【LT①】Always Free の HeatWaveを試してみた
登壇者:村田 太 氏 (HeatWavejp)
スマートスタルの村田さんより、今年8月に公開されたAlways FreeのHeatWaveに関する発表がありました。
Always Freeとは、OClのアカウントが有効であれば、テナンシのホームリージョンにて無料で使用できるリソースとなります。
Always FreeのHeatWaveは、制限があるものの、無料でHeatWaveが利用できます。
村田さんの発表では、HeatWave作成時にAlways Freeを選択した際、どのような設定となるかを実際の画面ショットとともに紹介いただきました。
また、Always FreeのHeatWaveにて利用できる機能、利用できない機能について、検証の結果なども交えお話いただきました。
使用制限があるものの、Always FreeのHeatWaveが公開されたことにより、気軽にHeatWaveの技術を試すことができるようになったと思いました。
なお、弊社ブログにてこのセッションと同内容の記事を公開しておりますので、ぜひこちらもご参照いただければと思います。
【LT②】Database Management を使ってHeatWave MySQLをモニタリングしてみた!
登壇者:原田 千晴 氏(フルエナジー)
フルエナジーの原田さんより、OCI Database Managementの機能を利用して、HeatWaveを監視する方法について発表がありました。
MySQLでは監視ツールの一つとしてMySQL Enterprise Monitorを利用できましたが、2025年1月1日でEOLを迎え、バグ修正、セキュリティ修正、新機能開発は終了することとなりました。Oracle社よりMySQL Enterprise Monitorの後継製品として、OCI Database Managementが挙げられております。
OCI Database Managementは複数のデータベースを監視できるOCIの統合監視ツールです。データベースごとに情報をドリルダウンや構成変数の確認、アラームの作成を行うことで通知を飛ばすことができる等の説明いただきました。
OCI Database ManagementにてHeatWaveの監視設定を行う方法は簡単であり、利用したいHeatWaveの詳細画面から2クリックで設定できることを説明いただきました。また、現在ではHeatWave作成した時点で、監視は有効化されているようです。
なお、OCI Database ManagementにてHeatWaveの監視を行う場合、現時点では追加コストなしで導入できることも説明いただきました。
HeatWaveを利用していて、監視方法に困っているなどあれば、追加コストがかからず簡単に設定できる、OCI Database Managementの利用は検討すべきだと思いました。
また、今後OCI Database ManagementにてオンプレミスのMySQLも監視できるようになるようなので、今からOCI Database Managementを使って情報のキャッチアップをしたいと思います。
【LT③】HeatWave on AWSで PrivateLink をサポートしたことで広がった可能性
スマートスタイルの中村さんより、HeatWave on AWSにてPrivateLinkがサポートされるようになったため、その内容についてお話いただきました。
PrivateLinkは、セキュアなネットワークサービスを提供するAWSのサービスです。
パブリック・インターネットを経由せず、プライベートネットワーク内でのデータ転送を行うため、外部からの攻撃リスクが軽減すると説明がありました。
また、HeatWave on AWSにてPrivateLinkがサポートされたことにより、Amazon AuroraやAmazon RDSからHeatWave on AWSへの通信も、プライベートネットワーク内で行われるため、パケットロスや通信遅延なくデータ同期が可能となります。
これらのメリットから、ユースケースとしては、個人情報を含む医療機関での利用や、安定したデータ同期でリアルタイム分析が求められるECサイトでの利用が適しているとの説明がありました。
中村さんにて実際にPrivateLinkを使い、Amazon Aurora MySQLからHeatWave on AWSへのインバウンドレプリケーションを検証し、サンプルデータベースが正常にレプリケーションできたと報告がありました。
あわせて、検証の参考としたサイトや、注意点についても紹介があり、実際に構築する際に必要な情報についても言及されており、実際に検証する際のイメージがしやすい内容でした。
【LT④】HeatWave on AWS の PrivateLink インバウンドレプリケーションで Aurora フェイルオーバーに追従する
hmatsu47(まつ)さんより、PrivateLink経由でのHeatWave on AWSのインバウンドレプリケーションについて、デモを交えて発表いただきました。
このLTやデモでは、ソースがAmazon Aurora、レプリカがHeatWave on AWSであり、Amazon AuroraはWriterインスタンス1台とReaderインスタンス1台のAurora クラスターとなっていることが前提として説明は進められました。
この構成でインバウンドレプリケーションを構成する場合、以下の点について言及がありました。
- ソースがAmazon Auroraの場合、binlogをレプリカに送ることができるのはWriterのみのため、フェイルオーバー時に新Writerとして接続しなおす必要がある
- PrivateLink経由であれば、NLB(Network Load Balancer)がIPアドレスベースでの利用となるのでDNSを利用したフェイルオーバーによる追従ができない
上記状況となり、HeatWave on AWSではAuroraクラスターのフェイルオーバーの追従ができない状況であるため、フェイルオーバーイベントを補足し、Lambda実行によるPrivateLink内部のNLBのターゲット切り替えを行うような実装をする必要があるといった説明がありました。
デモにて、実際にソースのAurora クラスターをフェイルオーバーしても、事前準備をした結果、レプリカ側のHeatWave on AWSがフェイルオーバーの追従を行えていることが確認できました。
詳細については、以下hmatsu47(まつ)さんがZennで公開されている記事に詳細な記載がありますので、こちらもご参照ください。
【LT⑤】HeatWave GenAI を(無理やり)日本語で動かしてみた
登壇者:山﨑 由章 氏(HeatWavejp)
HeatWavejpの山﨑さんより、HeatWave GenAI を日本語で動かす方法について発表いただきました。HeatWave GenAIは少し前までは英語のみ対応していましたが、先日多言語サポートされるようになり、Oracle CloudWorld 2024の発表資料のHeatWave GenAIの箇所には日本語が含まれておりました。
ただし、HeatWave In-Database LLMでサポートしている言語リストに日本語が含まれておりません。
そのため、現在はRAGに使うドキュメントをエンベディング(変換)するために使うモデルは日本語サポートしているものの、テキスト生成に使うLLMは日本語をサポートしていないことについて山崎さんは言及されました。
今回のLTでは現時点で公式サポートされていない方法と注意喚起しつつも、日本語で質問した内容を、日本語テキストで回答する方法についてご説明いただきました。
具体的には以下2つの方法となります。
- 質問に対して日本語の回答をお願いする。
「MySQLについて日本語で説明して下さい。」と質問すると、日本語での回答が返ってきました。
- ML_GENERATE内の”language”パラメータに”ja”を指定
パラメータ変更すると、「MySQLについて説明して下さい。」と日本語で質問しても、日本語での回答が返ってきました。
現時点ではサポートされていない方法となるものの、検証目的でHeatWave GenAIを日本語で動かす方法を実施し、どのような動作となるのか自分でも確認したいと思うLTでした。
HeatWave 最新アップデート情報
登壇者:高橋 宣幸 氏(スマートスタイル)
スマートスタイルの高橋さんより、2024/08/16~2024/09/30の最新アップデート情報について発表がありました。具体的には以下の内容となります。
- HeatWave on OCIにて自動ストレージ拡張のサポートが開始
- インバウンドレプリケーションにてPrivateLinkがサポート開始
- HeatWave on AWSのコンソールホーム画面の更新
- HeatWave on AWSにてHeatWave GenAIが利用可能に
LTで発表があった機能拡張もありますが、コンソール画面の細かい箇所についても日々ブラッシュアップが続けられていると感じました。
懇親会・まとめ
今回のHeatWavejpも無事終了しました。
Oracle CloudWorld 2024の参加レポートや、HeatWaveに関するLTと、内容の濃い1時間半でした。
終了後は懇親会が開催されました。
私は北海道在住で今回は現地での参加はできませんでしたが、おそらくHeatWaveやビジネスに関する意見交換等で盛り上がったものと想像しています。
なお、クロージングの際、次回のHeatWavejp #11は2024/12/18に開催予定で、なんと大阪で開催されることが正式決定されたことが発表されました。
関西付近の方でHeatWaveにご興味のある方はぜひ現地でご参加いただけますと幸いです。
Oracle MySQL ブログにも掲載
https://blogs.oracle.com/mysql/post/october-mysql-meetups-recap