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MySQL Shell の Parallel Table Import Utility を使ってみる

MySQL Shell の 8.0.17 で Parallel Table Import Utility が追加されました。

Parallel Table Import Utility はファイルデータを元にテーブルにデータをインポートする機能で、スレッド数の指定が可能となっており、シングルスレッドで処理する LOAD DATAステートメント よりも、高速に処理できるとリファレンスに記載されています。

という事で、今回は Parallel Table Import Utility のインポート時間とLOAD DATAステートメントのインポート時間を簡単に比較してみたいと思います。

検証サーバ

項目
OS CentOS 7.5
CPUコア数 8
MySQL Server
MySQL Shell
Version 8.0.17(Community)

検証前準備(インストール、インポートテーブル/インポートファイルの作成)

MySQLの公式レポジトリを追加し、MySQLサーバと MySQL Shell をインストールします。

余談となりますが、現バージョン(8.0.17)までの MySQL Shell では Python2.7 が必要でしたが、次バージョンとなる 8.0.18 からは Python3 が必要となるようです。

From version 8.0.18, MySQL Shell uses Python 3.

インストールが完了すれば、mysqldサービスを起動してrootユーザのパスワードを変更します。

データをインポートするテーブルを作成します。

インポートするデータを簡易的に作成します。

これで500万行のデータファイルが作成されました。
ファイルサイズは 157MB となりました。

検証方法

  • 前提条件
    • インポートするデータファイルは、MySQLサーバ上に存在するものとします。
    • 手順を簡略化させる為、インポートするユーザに rootユーザ を使用しています。(他ユーザで実行する場合は、INSERT及びFILE権限が必要となります。)
    • Parallel Table Import Utility のスレッド数は、1, 2, 4, 6, 8, 10, 15 の 7パターン で確認します。
    • インポートの度に、テーブルは TRUNCATE TABLE で再作成します。

LOAD DATAステートメントを実行する際はMySQLサーバにログインし、以下のコマンドでインポートします。

Parallel Table Import Utility を実行する際は、以下のコマンドで MySQL Shell にログインし、インポートを実行します。

  • Parallel Table Import Utility を実行するには、Xプロトコルセッションではなく、Classicセッションで実行する必要があります。
  • 内部的にLOAD DATA LOCALステートメントが使用される為、local_infileシステム変数をONにする必要があります。
  • bytesPerChunkでデータのチャンクサイズが指定可能で、デフォルトは50MBとなります。確認した限りでは、インポートはチャンク単位で行われる為、インポートデータサイズ / bytesPerChunkのサイズ 以上にスレッド数を増加させることはできませんでした。
    (インポートデータサイズが160MBで bytesPerChunk に50Mを指定した場合、最大で4スレッドまでしか使用されません。)

検証結果

  • LOAD DATAステートメント
    47.63 秒

  • Parallel Table Import Utility

スレッド数 インポート時間
1 45.79 秒
2 25.37 秒
4 16.60 秒
6 14.25 秒
8 13.54 秒
10 13.76 秒
15 16.45 秒
  • グラフ

まとめ

今回の検証では、スレッド数を調整する事で、LOAD DATAステートメントの1/3以下の時間でインポートする事ができました。

Parallel Table Import Utility は、内部的にLOAD DATA LOCALステートメントを並列に実行する事で処理が高速化されています。
ちなみに threads: 8 での実行中に show processlist を確認すると8スレッドで実行されていました。

本検証ではMySQLサーバ上からのインポートで確認しましたが、リモートサーバからも同様にパラレル実行が可能ですので、LOAD DATAステートメントや mysqlimport を使用してデータのインポート時間にお悩みの方は、Parallel Table Import Utility を試してみてください。
実行する際は、サーバリソースやMySQLの設定によって最適な設定は変わるので、threadsbytesPerChunkパラメータを調整して確認しましょう。


MySQL

 

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